この夏の2つのご報告(小川晴久)

この夏の2つのご報告(小川晴久)
 
 
1 『歴史の歯車を回した 北韓人権市民連合20周年』
 
8月31日に私は、私たちNGOの盟友である北韓人権市民連合創立20周年を祝う夕べに参加した。台風10号が関東地方に上陸するという予報の中、羽田から予約した飛行機が飛び立つかやきもきしながらの渡韓であった。
参加してみると、表題の本が参加者に全員配られた。この団体の機関誌『北韓人権』の歴代の巻頭言を3つに分けて紹介したものである。129編。そのほとんどが、1996年創立から理事長である尹玄さん(88歳)の手になるものである。
毎号の巻頭言であるから、これを読むと、北朝鮮人権問題の取り組みが今日まで発展してきた歴史がよくわかる。いい20周年記念号を出したものである。日本語に訳され、日本国内でも広く読まれるといいなと思う。非売品であるが、1冊2000円で購入してきた。韓国語・朝鮮語の読める会員の方で購入したい方は、事務局(nofencekorea@gmail.com)までご一報あれ。
私は今春、韓国のかつての総合雑誌『思想界』1965年6月号に韓国語に訳載されたM. L. キング牧師の1964年8月の演説「Revolution by Love」を読んで、たいへん感銘を受けた。原文を探したが、3カ月もかかった。その原文が載った雑誌がカリフォルニア大学バークレイ校図書館にあるのを、友人の友人が見つけてくれたのである。8月11日にそのコピーが届いた。北朝鮮の人権問題解決に役立つと考えたので、韓国語訳と原文のコピーを120部用意し、8月31日の参加者全員に、日本からのプレゼントとして差し上げた。会員の皆さんで原文と日本語訳を読みたいと言う方はご連絡あれ。
 
2 NK会で北朝鮮人権問題を語る
 
9月3日、NK会の夏季講習会に招かれ、北朝鮮の人権問題を1時間語った。NK会は、43年の歴史をもつ、北朝鮮を研究する研究者・マスコミ人の集まりである。
そこで朝日新聞社の記者をこの春終えたという田中良和さんと20年ぶりの再会をした。休憩時間に田中さんから挨拶を受けたが、私がすっかり忘れていたことを指摘された。私は報告の中で、1988年12月に出たミネソタ弁護士会国際人権委員会とアジアウォッチ共編の『北朝鮮の人権』という報告書の貢献を語ったが、その原本を1994~95年頃、田中さんがアメリカから取り寄せ、私に渡してくれたと言う。こんな大事なことを私はすっかり忘れていた。何たる恥知らずなことか!
私は田中さんに聞いてみた。初めてお会いしたのはいつだったのかと。それは1978年、延世大学の外国語学堂の韓国語講習会であったという。何たる記憶力の衰え! ちなみに上記の人権報告書は、2004年10月に弁護士・川人博氏との共訳で、連合出版から日本語訳を出した。16年ぶりの遅き出版である。
田中さんは後日手紙で、当日の私の報告は力強いものであったと書いてくれた。参加者は20名弱であったが、インパクトはあったと思う。NK会に感謝である。